八重歯を治療しないデメリットと矯正方法

八重歯と犬歯の違いは？

犬歯（けんし）とは、前歯の中央の歯から数えて3番目に生えている尖った歯のことを指します。
その形状から、「糸切り歯」や「尖頭歯」とも呼ばれ、左右対称に生えているのが通常です。
犬歯はいわゆる牙で、他の歯と比べて歯根部分が非常に頑丈な作りになっており、歯が弱った老人でも、犬歯だけは残っているということも多いとされています。
ときに、八重歯と犬歯を混同しやすいのですが、正確には異なります。
八重歯は、犬歯が歯列から飛び出して生えている状態を指しています。正式には「叢生（そうせい）」と呼びます。

犬歯が八重歯になりやすい理由

犬歯が八重歯になってしまう原因の一つとして、犬歯が生える時期が、他の歯よりも遅いということが挙げられます。
永久歯へ生え変わる際、他の隣り合う歯が先に生えてしまうと、犬歯が生えるために必要なスペースが十分に取れないことがあります。
歯列の中にスペースがないために、犬歯が他の歯よりも前にせり出て生えてしまい、八重歯の状態になってしまうのです。
また、歯やあごの大きさは遺伝の影響が大きい部分です。遺伝によって、生まれつき歯の大きさに対し、あごが小さい場合なども、犬歯が八重歯として生えやすい原因の一つです。

八重歯はかわいい？

八重歯のイメージは、国によって異なります。日本では、“付け八重歯”が流行するなど、八重歯に対し好意的なイメージもありますが、海外ではどうでしょうか。

日本ではかわいいイメージがある

日本では、八重歯がある人をチャーミングだと感じる人も多いようです。
女優の宮崎あおいさんや、広末涼子さんなども八重歯がかわいい芸能人として有名ですよね。
日本では、八重歯の状態をそのままにしていても、自然な状態の歯並びがかえって好意的に見られる傾向があるようです。

海外では印象は良くない

一方で海外では、八重歯は不健康、不気味といったネガティブなイメージがあるのも事実です。
欧米では、八重歯はドラキュラや魔女をイメージさせて印象が悪いとされています。
特にアメリカでは、歯並びの良し悪しに育ちが現れると考えられており、一般人の就職試験などにも影響があるため、八重歯をはじめとする不正咬合は治すのが一般的です。
また、同じアジアの中国でも、八重歯は”幸運が逃げる歯”と考えられており、矯正を行う人が多いようです。

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八重歯を治療しないデメリット

八重歯をそのままにしておくと、機能面でもデメリットが発生することがあります。
デメリットが発生する場合には、治療によって八重歯を治すことも検討したほうが良いでしょう。

歯磨きがしにくいことで虫歯と歯周病の原因になる

八重歯になっていることで歯と歯が重なっている場合、どうしても歯ブラシで隙間が磨きにくくなってしまいます。
磨き残しを長い間そのままにしておくと、虫歯や歯周病などの病気を引き起こしやすくなります。
歯磨きの際には、八重歯部分は特に念入りに磨くようにしなくてはなりません。

口の中をけがしやすい

八重歯は、他の歯よりも前に出ているため、舌や頬の内側を切ってしまうことがあります。
また、八重歯となる犬歯は先端が尖っているケースが多いため、より危険性が高まります。
正常な歯並びに比べて口の中をけがするリスクが高いのです。
特に転んだ際などに大きな衝撃が加わると、自分の八重歯によって、口の中を大きく切ってしまうことがあるため、十分に注意しなければなりません。

口臭の原因になる

八重歯によって、歯磨きの際に十分にブラシの毛先が行き届かない場合、歯の間に歯垢がたまってしまうことがあります。
歯垢がたまると、口臭を引き起こす原因になりますので注意が必要です。
口臭に悩んでいる場合、その原因が八重歯だったということもあるのです。

かみ合わせが悪く負担をかける

八重歯になる犬歯は、他の前歯よりも縦の長さがある歯です。
そのため、この犬歯部分は深くかみ合わせることができ、全体のかみ合わせにも影響が大きい歯です。
この犬歯が八重歯になっていることで、かみ合わせの問題が発生すると、力の分散が上手くいかず、あごにも負担がかかります。
このような場合、食事の際に上手くかめないなど、咀嚼に問題が出ることがあります。

八重歯の矯正方法

八重歯を気に入っていて、機能的にも違和感がないのであれば、そのままにしていても問題ありません。
しかし、見た目の問題や、歯磨きのしにくさ、かみ合わせなどで悩んでいる場合は、歯並び矯正で治してしまうことをおすすめします。
八重歯は、比較的治療がしやすい不正咬合の一つとされ、状態によっては最短1週間で治すことが可能です。
では、八重歯の矯正は、具体的にどのような方法があるでしょうか。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、数ある矯正方法の中でも最もポピュラーな方法で、しっかりとした効果が期待出来る方法です。
歯にワイヤーでできた矯正器具を装着し、時間をかけて歯を動かし、歯列を整えていきます。
歯の大きさに対しあごが小さく八重歯になっている場合には、一部の歯の抜歯を行います。
抜歯をする場合には、最初に抜歯を行ってから、ワイヤーでの矯正を行います。
デメリットは、歯を動かす際に人によっては痛みが伴う点や、矯正をしていることが目立ってしまう点です。
矯正にかかる期間は、矯正器具をつけて歯を動かす期間が2年ほど、理想的な歯列になってから歯の保定を行う期間が2年ほど必要です。

マウスピース矯正

八重歯は、マウスピースで矯正することも可能です。
マウスピースでの矯正は、患者の歯の形に合わせた矯正用マウスピースを作成し、日常的に装着することで、少しずつ歯を動かしていく方法です。
マウスピースは透明で、患者自身での取り外しも可能なため、ワイヤー矯正よりも矯正を行っていることが目立ちにくい点がメリットです。
しかし、歯並びがガタガタで複数の歯の抜歯が必要な場合は、マウスピースではなくワイヤーでの矯正が適しています。
このように、マウスピース矯正は比較的軽度な歯並び矯正向けで、適応症が限られることがデメリットとされます。
矯正に必要な期間は、マウスピースで歯を動かす期間が2年、さらに保定期間が２年ほどです。

セラミック矯正

歯列がガタガタになっていない軽度の八重歯の場合、セラミック矯正で治すという選択肢もあります。
セラミック矯正とは、歯を削った上からセラミック製の人工の歯を被せて歯を美しく整える方法です。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正のように、時間をかけて歯を動かしていく方法ではないため、最短1週間ほどで八重歯を治すことが可能です。
また、抜歯を行わないので負担が少ない点も特徴でしょう。
さらに、装着するセラミックの色を選ぶことができるため、理想の歯の白さを選ぶことができる点もメリットの一つです。
歯並びを改善するとともに、歯の色も改善できます。
歯科医院によっては、歯の神経を取り除くセラミック矯正が行われています。
しかし、神経を取ってしまうと歯に栄養が行き渡らなくなりますので、歯は死んだ状態になってしまいます。
歯が死んだ状態になると、のちに変色などを引き起こすことがあり、リスクが大きいため、可能な限り、神経を残す治療を選択するようにしましょう。