ブラックトライアングルとは

ブラックトライアングルとは、歯と歯の間に出来る隙間のことを指します。隙間が小さいうちは目立ちませんが、大きくなると隙間が三角形となり色も黒く見えるために、「ブラックトライアングル」と呼ばれます。
ブラックトライアングルは病気ではありませんので、痛みなどはありません。
しかし、前歯の1番目立つ部分にできると笑った時に目立ってしまうため、見た目が気になるという人も多いでしょう。
ブラックトライアングルの原因
ブラックトライアングルは、歯と歯の間に徐々に隙間ができることで起こります。隙間が空いてしまう主な理由として、歯肉が減ってしまうことや、歯間乳頭と呼ばれる歯と歯の間にある歯肉の先が尖っている部分が歯の根もと側に下がってしまうことが挙げられます。
一度歯肉がやせ細ったり、下がってしまうと、自然に元に戻ることはありません。歯肉の減少や後退につながる5つの原因を解説します。
- 加齢
- 1つ目の原因は加齢です。歯間乳頭は、歯槽骨という骨の上に形成されています。
加齢とともに人の細胞は活性度が下がりますが、歯槽骨や歯肉でも同様に細胞の活性度が下がります。細胞の活性が低下すると、歯槽骨や歯肉は萎縮し徐々に高さが低くなっていきます。
これにより歯間乳頭の位置も歯の根もと側に下がり、歯と歯の隙間が拡大し、ブラックトライアングルにつながります。
老化によって起こるブラックトライアングルには個人差がありますが、30代頃から始まり40代になるとより目立ってくるケースが多いようです。
- 歯の磨き方
- 歯の磨き方に問題があると、ブラックトライアングルにつながることがあります。
歯磨きの仕方は人によって癖があります。
しっかりと歯を磨くことは虫歯などの予防においてとても大切なことですが、磨きすぎや力加減が強すぎると歯肉に大きな負担をかけてしまうことがあるのです。
長い期間、歯肉に負担がかかる状態が続くと、歯間乳頭部分の歯肉が薄くなったり、その下の歯槽骨にも負荷がかかって溶けてしまうなどの影響が出ます。
結果として歯肉が後退し、歯と歯の間に隙間ができてブラックトライアングルとなってしまうことがあるのです。
- 歯周病
- 歯周病によって歯と歯肉の境目が深くなることも多く、歯間乳頭が下がってしまいブラックトライアングルを形成します。また、歯周病の治療を行ったことにより、腫れていた歯肉が引き締まってブラックトライアングルができてしまうこともあります。
しかし、ブラックトライアングルができるのを避けるために、歯周病の治療を行わないことはおすすめしません。歯周病がより進行すると歯槽骨を溶かしてしまい、土台が弱くなった歯が動くことがあります。
このような場合、治療をせずそのままにしておくと最終的に歯が抜け落ちてしまいますので、歯周病に気づいたら早い段階での治療が必要です。
- ワイヤーによる矯正
- 歯並びを整える歯列矯正を行うことで、ブラックトライアングルができてしまうことがあります。
ワイヤーでの歯列矯正は、矯正器具を歯に装着し、少しずつ力をかけることで歯列を整える治療方法です。
このとき歯槽骨を溶かすことで歯を並べ変えるのですが、移動の際に溶けた歯槽骨が元の高さまで戻らないために、歯槽骨と歯間乳頭が矯正前よりも低い位置となってしまうケースが多いのです。
歯槽骨と歯間乳頭の位置が下がると、隙間ができ、ブラックトライアングルとなってしまいます。
また、ワイヤー矯正では、一部の歯を抜歯することがほとんどですが、以前よりも歯列に余裕ができたことで、歯と歯の間に隙間ができてブラックトライアングルが目立つことがあります。
矯正方法の特性上、歯と歯の間に隙間ができてしまうことが避けられないケースもあるのです。
- かみ合わせ
- 寝ている間に歯を食いしばる癖があるなど、かみ合わせが日常的に強い場合、歯だけではなく歯肉や歯槽骨にも大きな負担がかかります。
大きな負担がかかった歯槽骨や歯は溶けてしまうことがあり、これによって歯間乳頭が下がりブラックトライアングルができてしまう場合があります。
特に下顎を前後に動かす癖がある場合、上下の前歯が擦れることにより前歯の歯槽骨や歯間乳頭が数年をかけて徐々に下がり、ブラックトライアングルが目立つようになります。
ブラックトライアングルの治療の必要性

ブラックトライアングルは病気ではないので、必ずしも治療を行わなくてはいけないものではありませんが、見た目の印象や衛生面の観点から治療を行う人が増えています。
また、発音に支障をきたす場合にも治療を検討されることをおすすすめします。
- 見た目の印象
- 審美的な観点から、ブラックトライアングルを気にされる方は非常に多いです。歯並びの状態は、相手に与える印象に大きな影響を与えます。歯肉が下がり、隙間ができてしまっている歯並びは、老けた印象を与えてしまいます。
若々しく健康的な印象を作りたいのであれば、ブラックトライアングルの治療を検討してみてはいかがでしょうか。
- 衛生面の問題
- ブラックトライアングルがあると、食べ物が詰まりやすくなります。その上、歯ブラシが届きにくいため、口の中の衛生状態を保つためには歯磨きに非常に気を使わなくてはなりません。
磨き残しがあると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。衛生面での問題から、隙間を埋める治療を希望する方もいらっしゃいます。
- 発音に悪影響がある
- ブラックトライアングルの隙間の面積が大きい場合、そこから空気が漏れて発音に影響が出る場合があります。発音が不明瞭になってしまうことは相当なストレスとなりますから、治療を検討されることをおすすめします。
ブラックトライアングルの治療方法
ブラックトライアングルを治療する場合、どのような治療方法が適切でしょうか。
ここでは、前歯のブラックトライアングルの治療を想定し、3つの治療方法のパターンを比較します。
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ラミネートべニア |
セラミック矯正 |
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治療概要 | 歯の表面を削ってセラミックを被せる | 歯の一部を削ってセラミックでできた歯を被せる |
期間 | 1日~1週間程度 | 最短1日~ |
費用 | 16.5万円 | 1本8.8万円~ |
メリット | 歯の表面がきれいになる、歯を削る量が少ない | 歯の白さと大きさが自由に選べる、審美的に非常に優れている |
デメリット | 取れてしまうことがある、虫歯になりやすい | 神経を抜く場合がある ※当院では神経を残す治療を行っています。 |
- ラミネートべニア
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治療方法・メリット
ラミネートベニアとは、歯の表面を0.5ミリ程度削り、その上から薄いセラミックを被せる治療方法です。
歯の表面をきれいにする治療方法ですが、セラミックをブラックトライアングル部分に被せることで隙間を目立たなくすることが可能です。
歯を削る量が少ないため安心な方法で、治療時間が短い、痛みを感じないというメリットがあります。注意点・デメリット
歯に貼り付けたセラミックが取れてしまうリスクがあることや、歯とセラミックの間に隙間ができてしまうとのちに虫歯になりやすいというデメリットがあります。
また、歯を削る量を抑えると、貼り付けるセラミック歯が大きく見えてしまいバランスが悪くなることがあります。
その他、セラミックの白さは選ぶことができます。
しかしラミネートベニアの場合、被せるセラミックが薄いため元の歯の色が反映されやすく、審美的に美しく透明感のある白い歯にならないことがあります。
- セラミック矯正
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治療方法・メリット
セラミック矯正は、歯を削りその上からセラミックで作成した歯を被せる治療方法です。ラミネートベニアは歯の表面だけに薄いセラミックをかぶせることに対し、セラミック矯正では、セラミックで作成された人口歯を被せます。
セラミック矯正は、歯の白さだけではなく大きさや形なども自由に選ぶことができ、ラミネートベニアでの治療よりも大きく印象を変えることが可能です。
また、セラミックの被せ物は、天然の歯に似た透明感があり非常にナチュラルです。一部の歯だけセラミック矯正をしても、他の天然の歯と見分けがつきません。審美的な面から見ても非常に優れた治療方法です。
セラミック矯正も最短で1日で治療が完了し、治療期間が短期間で済むというメリットがあります。
また、痛みや後戻りもありません。
ブラックトライアングルの治療とともに白い歯にしたいケースや、歯の欠損がある、虫歯がある、早く治療を完了させたいという方にもおすすめです。注意点・デメリット
セラミック矯正では、歯を削る際に神経を取り除く治療を行うことが一般的です。
神経は歯の根もとにあり、痛みや温度を感じる、歯に栄養を届けるなどの役割を持ちます。
神経を取ってしまうと、歯に栄養が行き届かなくなり、歯茎が黒ずんだり膿んでしまう恐れがあります。歯そのものがもろくなり、寿命を縮めてしまうリスクもあります。
セラミック矯正を行う際には、神経を取り除かない歯に優しい治療を選択することをおすすめします。九段下スターデンタルクリニックでは、神経を残す治療を行っています。
ブラックトライアングルを治療した症例


こちらの症例は、他院でワイヤー矯正を行った患者さんがその後ブラックトライアングルができてしまい、相談に来られました。
上の歯を6本セラミック矯正で治療を行い、ブラックトライアングルの治療と同時に歯の大きさと白さも整え、歯の大きさも小さく仕上げました。
当医院にはワイヤー矯正治療をしたもののブラックトライアングル等で審美的に満足できない患者さんが多くいらっしゃいます。
ブラックトライアングルになってしまった患者さんに対して、笑顔に自信が持てるように、歯の大きさや色を総合的に診察し、治療のご提案をさせて頂いております。
当医院では神経を残す治療を行っています

神経を取り除くセラミック矯正が一般的な中、当院のセラミック矯正では神経を抜きません。
神経を取ってしまうと、年を取ったときに歯が抜けやすくなるというリスクがあります。
当院では、一生自分の歯でいられるように、神経を残した治療を行うことにこだわっています。
他の歯科医院で神経を取る必要があると言われた場合でも、当院では削る量を最小限にしているため神経を残せる場合があります。一度ご相談ください。
セラミック製作へのこだわり

一流の技工士は雇えない(優秀な人はみんな独立してしまいます)ので当院ではセラミック製作は外注にこだわっております。院内で製作すれば安くできるのでが、ここはいくらお金がかかろうとも譲れないポイントなのです。当院では全て外注にもかかわらず、理事長自らが指示を出して製作させるために技工室を備えております。
セラミックの品質・センスに徹底的にこだわっております。
来院から治療完了までの流れ
1. 問診表の記入
受付にてお渡しする問診票をご記入ください。簡単で結構です。


2. 診察
はじめに、口腔内の診察を行います。
予約制のため、診察までお待たせすることはありません。


3. カウンセリング
カウンセリングルームにてカウンセリングを行います。
歯のお悩みや気になることを遠慮なくお聞かせください。


4. CTによる口腔内の状況確認
歯の状態、神経の位置をmm単位で正確に把握するため、CTで口腔内を撮影します。
撮影後は、CT画像を見ながらより詳細に歯の状態を説明します。


5. 状況と治療方針のご説明
患者様の希望や診察結果を元に、いくつかの治療法を提示いたします。
治療法をお選びいただいたのち、治療方針についてご説明いたします。
治療方法についてのご質問や気になることがあれば、丁寧にアドバイスいたします。


6. 歯を削って仮歯をはめる
1回目の治療では、セラミック矯正を行う歯を削ります。
歯を削った日は、プラスチック製の仮歯を装着します。
仮歯をはめることで、治療を行ったその日から歯並びを整えることができ、周囲の人に矯正治療中であることが気づかれません。


7. 1週間後:セラミックの歯を被せて完了
初回の治療から約1週間でセラミックの歯が完成します。
ご来院いただき、本番のセラミックの歯を装着します。
これでセラミック矯正の治療が完了です。

ブラックトライアングルに関するよくある質問
- 治療後にまた歯茎が下がってしまうことはありますか?
- 一度セラミック矯正などの治療を行っても、人によっては年齢とともに再度歯茎が下がることがあります。このような場合、セラミックの歯の付け替えなどを行うことで、また美しい歯を手に入れることが可能です。
- 見た目はそこまで気になっていませんが、治療は必須ですか?
- ブラックトライアングルは病気ではありませんので、必ず治療を行わなければいけないものではありません。しかし、歯茎が下がっている原因が歯周病などの疾患によるものであれば、原因となっている疾患の治療を行った方が良いでしょう。
- ブラックトライアングルは遺伝する?
- ブラックトライアングルができやすいかどうかは遺伝の影響があります。
歯槽骨が薄く歯肉が退縮しやすい、歯が小さい、すきっ歯である、歯の形が逆三角形に近い場合、ブラックトライアングルができやすい傾向があります。
歯槽骨や歯の状態などは、親から遺伝の影響を受けやすい部分です。
セラミック矯正に関するQ&A
- セラミック矯正はどのくらい持ちますか?
- 神経を残すセラミック矯正の寿命は、一生持つと考えて良いでしょう。
年齢を重ねると歯と歯茎の間に隙間ができることがあり、それにより付け替えを行う方もいらっしゃいますが、セラミック歯そのものは一生ものと言えます。
理事長も30年以上前に神経を残すセラミック矯正を受けていますが未だに何の問題もありません。
- 他の矯正方法に比べて安い?
- セラミック矯正の治療費は、セラミック歯の素材と本数によって大きく変わります。
1本8.8万円(ハイブリットセラミックの場合)から、素材と本数によっては100万円を超えることもあります。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正は66~121万円程度の治療費がかかりますので、矯正を行う歯の本数が少なければ、セラミック矯正の方が安く済むケースも多いでしょう。
- 施術後に痛みが出ることがあると聞いたのですが?
- セラミック矯正の治療において、歯を削る際には必要に応じて麻酔を使いますので治療中は痛みを感じることはありません。
施術後、麻酔が引いたあとに痛みを感じることがあるとすれば、歯を削ったことによる痛みだと考えられます。
こうした痛みは数日でなくなりますのでご安心ください。
- セラミックが割れたり取れてしまったりすることはありますか?
- 基本的に割れることはあまりありません。
まれに、歯ぎしりが激しい方は割れてしまうことがありますが、当院ではできるだけ歯ぎしりをしても問題のないようなかみ合わせで歯を作成します。
- 付け替えないといけないのはどんなときですか?
- 年齢を重ねると歯と歯茎の間に隙間ができることがあります。
このような場合、隙間をなくすためにセラミックを付け替える方もいらっしゃいます。
- カウンセリング時に見積もりまでわかりますか?
- はい、カウンセリングで治療計画書や見積もりまでご確認いただけます。
カウンセリングは無料で行っております。
- 何歳ぐらいからセラミック矯正は可能ですか?
- セラミック矯正は、永久歯に生え変わっている人であれば、何歳でも治療を行うことができます。
高校生や大学生の方も、セラミック矯正の治療を受けにいらっしゃいます。
- 治療していない歯との色のバランスは保てますか?
- セラミック歯の白さは選ぶことができますので、治療をしていない歯とのバランスを見て色を決めることができます。
また、治療をしていない歯をホワイトニングすることで、セラミックの歯と合わせて歯列全体を白くする方法もあります。