Eラインと受け口の正しい治療法

横顔の美しさはEラインで決まる

横から見たときの顔の美しさは、鼻からあごにかけてのバランスで決まります。その基準となるのが「Eライン」です。

Eラインとは

人の顔を横から見て、鼻先とあご先を1本の線で結んだ線をEラインと呼びます。
人は、バランスが取れたものを見て「美しい」と感じます。
Eライン上に唇が位置する、または少し後ろにあることが、バランスが取れた美しい横顔の条件とされています。
美しいEラインを作るためには、歯並びが良いことが重要です。
出っ歯の場合には、口元がEライン上よりも前に出てバランスが崩れてしまいます。
また、受け口の場合にも、あごが前に出て口元が下がりすぎ、美しいEラインが引けなくなります。

Eラインの確認方法

Eラインが整っているかどうか、自分でも確認を行うことができます。
一番簡単なEラインの確認方法は、ボールペンを使う方法です。
鼻の先から顎の先までボールペンを当て、基準ラインとなるボールペンに、唇がちょうど触れる位置にあるかどうかを確認しましょう。
唇が潰れるほどボールペンに当たる場合や、逆に唇とボールペンの間に空間がある場合には、審美的な視点から見た際に、理想的なバランスではないということがわかります。

受け口によってEラインが崩れる原因は？

理想的なEラインが作れない原因の一つに、受け口（反対咬合）が挙げられます。
受け口は、上の前歯よりも下の前歯の方が前に出てしまっているかみ合わせの状態を指し、原因は大きく骨格性のものと、歯性のものに分けられます。

骨格性反対咬合

骨格性の受け口は、生まれ持ったあごの骨格のバランスが悪いことが原因で起こります。
上あごに対し、下あごが大きいと、下あごが前に出てしまいます。
連動して、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態になり、かみ合わせも通常と反対です。
骨の形やバランスは親から遺伝しやすい部位のため、骨格性反対咬合は、遺伝によるものが多いとされています。
上あごと下あごのずれが大きく重症な場合は、矯正治療だけで治すことが難しいため、外科手術と矯正治療の併用で治す必要があります。
あごのバランスのずれが小さく、軽症である場合には矯正治療のみで治すこともできます。

歯性反対咬合

歯性反対咬合は、骨格には問題なく、上の歯が下の歯の後ろになっているものを指します。
この場合は、歯の生えている角度に問題がある、またはかみ合わせるときに何らかの理由で、下あごが前に出てしまうことで反対咬合が起っています。
歯性反対咬合は、幼い頃の指しゃぶりのくせなど、後天的な要因でおこるケースが多いとされています。
骨格に問題がないため、一般的な矯正治療だけで受け口を治すことが可能です。

受け口の正しい治療法は？

受け口にはいくつかの矯正方法がありますが、症状の程度によって、治療方法が異なります。
治療を検討している場合には自己判断で治療方法を決めずに、矯正歯科でしっかりと相談をして、適切な治療を受けるようにしましょう。

外科手術とワイヤー矯正の併用

骨格性の要因が強く受け口の程度が重症な場合、一般の歯科矯正だけでは治療ができないケースがあります。
このような場合には、外科手術とワイヤー矯正を併用して治療を行います。
術前矯正としてワイヤー矯正を1~2年行ったのち、あごの骨を移動させる外科手術に臨みます。さらに、手術後に半年ほど再度ワイヤー矯正を行うことが一般的です。
手術によってあごの形状は良くなっても、かみ合わせをきれいに整えるためには歯並び矯正が必要なため、このような順番で治療を行います。
外科手術を含む治療の場合には、保険が適用されますので、自由診療での歯並び矯正よりも費用がおさえられることがあります。
しかし、外科手術は約2週間の入院が必要となり、大きなリスクも伴います。

ワイヤー矯正

歯性の要因が強い場合や、重症でない受け口であれば、ワイヤー矯正のみでの治療が可能です。
ワイヤー矯正は、数多くの歯並び矯正方法の中でも歴史が長く、最もポピュラーな治療法です。
効果も出やすいために、多くの人に選択されています。
デメリットは、矯正期間中はワイヤー製の矯正器具が外せないために、どうしても見た目が目立ってしまう点です。
矯正に必要な期間は、器具をつけて歯を動かす期間が2年、歯を動かしてから保定を行う期間が2年ほど必要です。
自由診療のため、費用は歯科医院によって異なりますが、だいたい70~110万円ほどで治療を受けることができるでしょう。
また、歯科医院のホームページで費用を確認する場合、その金額がトータルフィーで表記されているかどうか、注意が必要です。
矯正治療は、矯正器具にかかる費用だけではなく、都度の診療代なども必要です。
歯科医院によっては、ホームページに記載されている費用が、治療を開始してから全て完了するまでのトータルフィーで書かれていない場合もあります。
矯正治療は高額になる治療です。
初診時にしっかりとトータルフィーを確認することが大切です。

マウスピース矯正

受け口の状態が比較的軽度であれば、マウスピース矯正によって治療ができるケースもあります。
マウスピース矯正は、かみ合わせの調整を苦手としているため、骨格性の要因が強い受け口の場合には、マウスピース矯正では効果が出にくく、不向きとされています。
軽度の受け口で、歯列の矯正のみで治療ができる場合であれば、マウスピース矯正も有効です。
マウスピース矯正のメリットは、自分で矯正器具が好きな時に取り外しできる点です。
通常通り、食事や歯磨きを行うことが可能です。
治療期間は、通院をしながらマウスピースで歯を動かす期間が2年ほど、さらに歯並びが整ってから保定を行う期間として2年ほど必要です。
費用は、歯の状態や歯科医院の値段設定に影響されます。
具体的には、70~120万円ほどを見込んでおきましょう。

セラミック矯正

比較的軽度で、前歯の歯並び治療で受け口が治る場合には、セラミック矯正でも治療を行うことができます。
セラミック矯正は、天然の歯の一部を削ってセラミックでできた人工の歯を被せて歯並びを整えます。
受け口の場合には、セラミック矯正によって歯の角度を変えて、不正咬合を治していきます。
セラミック矯正は、ワイヤー矯正や、マウスピース矯正のように歯を動かす方法ではないため、治療にかかる期間が短い点が特徴で、最短で1週間程度で、歯並びを治すことが可能です。
セラミックでできた歯は丈夫で美しく、さらに希望の白さを選ぶこともできるため、受け口を治すのと同時に、美しく白い歯を手に入れることもできます。

【関連ページ】
▶セラミック矯正のメリット・デメリット、治療期間・症例

矯正治療だけで横顔を美しくできるか？

受け口で横顔にコンプレックスがある場合、矯正治療によって改善することが可能です。
しかし、受け口が骨格の問題から起こっている場合には、外科手術と併用して骨格を整えなければ、Eラインを整えることができないケースもあります。
骨格や歯の状態は個人差が大きく、自分にあった治療を選択することが重要です。
横顏の美しさを高いレベルで追求したいのであれば、一度矯正歯科での診察を受けてみることをおすすめします。