八重歯（乱杭歯・叢生）を削るときに注意するポイントと矯正方法

みなさんは「八重歯」に関してどのようなイメージをお持ちですか？
八重歯はチャームポイントの一つでもあり、可愛らしい印象がありますよね。

しかし、一方では笑うと歯が大きく見えてしまうなどのお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか？「歯が大きい」のであれば「歯を削れば小さくなる」と思いますよね。
ですが、単純に削って小さくする治療はリスクが大きく、効果がほぼないので意味のない治療なのです。

今回は、八重歯の歯並びを良くするにはどのような治療法が最適なのかお話をしていきたいと思います。

八重歯の原因はあごが小さいこと

八重歯になる原因の一つが「顎の大きさ」です。日本人の歯の特徴には、顎の小ささに比べて歯が大きいということがあります。

三人掛けの椅子に四人が腰を掛けてしまうと一人溢れてしまう状態と同じように、歯の大きさに対し歯が収まるスペースが足りないため、歯が凸凹に生えてきてしまいます。

ではなぜ、犬歯が他の歯よりも前に出てくることが多いのでしょうか。

実は乳歯から永久歯に生え変わるタイミングはそれぞれの歯によって決まっており、犬歯は大体11歳頃に生えてくるので、他の隣り合う歯に比べて遅いタイミングで生えてきます。
その為、必要なスペースが埋まってしまっている状態で犬歯が生えてくるので、犬歯が他の歯よりも前にせり出てしまい八重歯のような状態の歯並びになってしまうのです。

【関連ページ】
▶八重歯の原因と矯正方法
▶八重歯の原因・症例と治療方法

八重歯は見た目以外にも問題がある

1．歯磨きしずらいことで歯周病の原因になる

八重歯は歯並びが前後に凸凹している状態のため、歯と歯の間が磨きずらくどうしても磨き残しが出てしまいます。
その磨き残しが原因で、虫歯や歯周病になりやすいです。

2．口の中を怪我しやすい

八重歯が前に出ているためよく唇や頬などを切ってしまい、正常な歯並びに比べて口の中を怪我しやすいです。
その怪我が原因で口内炎を発症させます。

3.口臭の原因になる

上記でも記載の通り、歯磨きの際にブラシの毛先が十分に行き届かず、歯垢がたまることで口臭の原因となってしまいます。

4．かみ合わせが悪く負担をかける

噛み合わせが悪いことにより、力の分散が上手くいかず、顎にも負担がかかります。
それが原因で顎関節症などの症状が現れ、筋肉の疲労により頭痛を引き起こす原因にもなり得ることがあります。

【関連ページ】
▶八重歯を治療しないデメリットと矯正方法

八重歯は削って治せる？方法とリスクについて

１．自分で削って大丈夫？

歯医者に行かなくても、自分でやすりなどを使って削れるのではないかと思う方もいるかも知れません。
ですが、絶対に自分で削ることは止めてください。
エナメル質は一度失ってしまうと再生されることはない組織のため、自分で削るという行為はリスクだらけの行為と言えるでしょう。

２．治療期間

もし削って八重歯を治そうとした時の治療期間は、機械で削るだけの数分で終わります。
しかし、歯を削ると一口に言っても削れる範囲をエナメル質の範囲内に抑えなければいけないため、削れる範囲には限りがあります。
例えば犬歯が他の歯より長く見える場合は、エナメル質の範囲内ということで先端を0.5ミリ程度短くするという程度であれば可能です。

また、歯が飛び出ているのが気になる場合も、表面をエナメル質の範囲内ということで0.5ミリ程度削ることが可能ですが、いずれも歯並びが変わるほど削ることはできません。

歯の横幅が気になる場合、ぴったりと密着している状態の歯と歯の間を削ることは、隙間が出来てしまうので出来ません。
一方、八重歯は単独で前にせり出ているので多少削れるかと思いますが、ここもエナメル質の範囲内に収める必要があるので0.5ミリぐらいしか削ることができません。

３．エナメル質の範囲内で削っても歯に悪影響がある

矯正治療が目的で歯を削るとなった場合、エナメル質の範囲内に収めなければなりません。

しかし、エナメル質の厚みは1～1.5ｍｍ程度ですので大きな切削をすることはできません。
さらにエナメル質の範囲内の切削であっても削れば表面がガサガサになりむし歯にもなりやすく、少々しみる症状がでる場合もあります。
このことを踏まえると、出来れば健康なエナメル質を削る行為は避けたいところです。

もし、エナメル質を超えて象牙質まで達してしまうと、むし歯になるリスクがぐっと上がることと、歯が極めてしみやすくなり、酷い時では息も吸えないほどの歯のしみを感じてしまいます。
もし歯を削って矯正治療をするとなっても、エナメル質の範囲内で0.5ｍｍ程度の切削しか望めないので殆ど削ることが出来ないでしょう。

たとえ、エナメル質の範囲内で削ったとしても薄くなったエナメル質が露出してるため歯に悪いことに変わりはありません。

セラミック矯正による八重歯の矯正

１．きれいに仕上がる

セラミック矯正とは歯を削って、そこにセラミックを被せて歯並びを整える矯正治療のことです。セラミック矯正は一般的には神経を取り除く場合が多いですが、神経を残すセラミック矯正もあります。神経を取るセラミック矯正は歯にはとても悪いですが、大量に削る分歯の矯正量は大きくなります。神経を残すセラミック矯正は歯にとてもやさしいのですが、その分歯の矯正量は少なくなる傾向にあります。

神経を残すセラミック矯正の場合でも、削るだけの矯正治療に比べ、セラミックを被せることを前提に神経ギリギリまで削ることができるので、その分歯の向きや傾斜を整えることが出来ます。

また、セラミックを被せてしまえばセラミック自体はプラークが付きにくい素材のためむし歯のリスクが低いことや歯にすっぽりと被せ物をしてしまうので歯がしみるというリスクも低くなります。

またセラミック歯の色と大きさを選択できますので、歯の色や大きさが気になっている方にもおすすめの治療になります。天然歯そっくりの白さにすることも可能です。
ホワイトニングをしなくても歯を白くすることができ、ホワイトニングをした歯よりも着色がしにくいため、半永久的に歯の色が綺麗になるという利点もあり歯の審美性の面から見てもおすすめの治療といえるでしょう。

２．治療期間が短い

一般的なワイヤー使った矯正の治療期間は症例にもよりますが通院２年と保定期間２年の合計４年かかる場合が多く、長期間矯正治療に関わらなければいけない為、かなりの忍耐力が必要になります。

一方、セラミック矯正は歯を直接動かすわけではないので、歯の形を整える、歯の型採りをする、被せ物をするといった３ステップで治療が完了します。最短1週間という圧倒的短期間で治療が完了します。

短期間で治療ができるので、仕事のお休みがなかなか取れない方や子育てなどで自分の時間がない方、何かのイベントごとを控えていてすぐに治したい方などにとてもおすすめの矯正治療です。

3．痛みがない

一般的なワイヤーを使った矯正治療は、常に装置が口の中に入っている状態の為、装置が目立ち見た目が気になることの不便さや痛みを伴います。
しかし、セラミック矯正は歯を削るときに麻酔をしてしまえば痛みを感じることもありませんし、慣れない矯正装置を口腔内に入れておかなくても良い気楽さが利点と言えるでしょう。

【関連ページ】
▶セラミック矯正のメリット・デメリット、治療期間・症例